水月 〜すいげつ〜 Grand Package



初めに(前書き)

今回は 2002 年に発売された 水月 -すいげつ- のリメイク
作品である 水月 〜すいげつ〜 Grand Package について書き
ます。ただ、今回は各個別ルートを一度だけクリアした状態で
書いていますので、作品の理解度は低いと思います。しかし
そんな状態でもすぐに作品への思いを書きたいと思える程の
作品でした。暇ができれば色んな人のレビューなどを見て
もっと作品の理解度を高めた状態で再度プレイすれば、また
違った見方ができるかもしれませんが、とりあえずはこれで
完成という事にしておいてください。

総評

そうですね…本当に刺さる人にはとことん刺さる作品だと
言えますね。各個別ルートも凄く印象的で、かなり複雑で
難しい部分も多い那波。1 つの到達点に感じた雪。表と裏の
関係性を感じた花梨と和泉。本筋から外れた部分もあるが
個人的に作品の理解度を上げたアリスとマリア。そんな中で
異質に輝く鈴蘭。どの個別ルートもこの水月と言う作品には
必要だったと言えるのではないかと思います。と言っても
各個別ルートに格差はありますけどね。この後のシナリオで
それを察する事が出来ると思います。ただ、本当にこの令和の
時代にはとことん合わない作品でしょうね。作品の世界観に
浸りながら難解な那波の個別ルートは時間をかけて考えたり
する事が必要だからです。リメイク作品とはいえ原作は 20 年
以上に発売されたものですからね。当時と今では違うのも
仕方ないのかもしれません。ただ、昔の作品だからと敬遠
するにはあまりにもったいない作品ではあると思いますので
私の拙い文章で少しでも興味をもってもらえたら是非プレイ
して欲しいと思います。

シナリオ

プレイした個別ルートの順番で書いていきます。まずは和泉の
個別ルートですが、記憶喪失や不思議な夢。タイトルの意味
などの話の本筋からは外れながらも、少年少女達の思いと
和泉と花梨との関係性にスポットを当てた話は分かりやすく
互いに気持ちをぶつけ合うシーンはとても良かったです。ただ
やっぱり色々と謎が多く残ったので、その辺りは那波の個別
ルート辺りで詳しくやるのだと思っていました。この時はね。
そして次に花梨の個別ルートですが、和泉の内容に部活と
過去を混ぜて本筋の内容に少しだけ足を踏み入れた感じで
もう少しだけ本筋を描写して欲しかったですが、それ以外は
バランスよく描写されていましたので、結構満足しています。
次はアリスとマリアですが、以外と本筋にも絡んでいそうに
見えて実は絡んでいない話でしたね。ただ、涙石の件に加えて
「怪」と言う表現は作品の世界観を考察するのに結構重要な
話でしたね。個人的にはどちらかと言えば本筋を俯瞰して
見ている感じでした。さて次に鈴蘭の個別ルートなんですが
これは考えるだけ無駄というかオマケ的な印象が強いです。
よくわからないままいい感じにまとまったとでも言うべき
ですかね?では短いですが次の雪の個別ルートにいきます。
雪はね。…もう何というか…タイトルの水月。水に写る月。
そこには存在しないもの。しかし、それを信じ続け、ありえた
1 つの幸せな未来への可能性を拒み拒否してつかみ取った結末。
それが幸せなのかは当人達にしか分かりません。ここで安易に
多くの人に祝福される形にしなかった所にも製作者の信念の
ようなものを感じます。ただ、雪との結末を選べなかった
選択も決して間違いではないはずです。それも可能性の 1 つ
ですからね。さて、最後は那波の個別ルートですが…はい。
申し訳ないですが私の頭では一度クリアした程度では多分
半分も理解出来ていないですね。涙石の力を借りてマヨイガに
至りながらもその先の望んで手繰り寄せてつかみ取って得た
可能性があのラストかな…的に考えています。まあ、色々と
考察サイトをみたり、再プレイしたりすると新たな発見が
あるかもしれませんが現状だとこの認識ですね。個人的に
雪の個別ルートの結末は好き嫌いは分かれるかも知れない
ですが、ある意味であの結末が至高ですし、ああなった過程
過程にも納得しているので、本作では一番評価が高いです。
まあ、これも那波の個別ルートの解釈で納得できるものが
あれば評価が逆転する可能性もありますけどね。

グラフィック

当時は最高峰といっても過言ではない出来だったと思いますが
流石に原作から 20 年以上経過しているので、最近の作品と
比べると劣ると感じる人がいるかもしれません。私はそこまで
気にならなかったですが。絵の傾向は幼い少女が結構多いので
そちらの属性が好きな人には割と刺さるのではないかなと
思います。私は別にそっち方面の属性はないので、そこまで
思う事はないですね。一枚絵だと CG 鑑賞で雪の場所の一番
左上に表示される一枚絵が一番印象に残っていますね。何と
いうかもう言葉はいらないというか…あんなふうに微笑む
雪さんがみられたらもういいじゃないですか。それで満足です。

音楽

オープニングのボーカルがない事に違和感を感じる人もいる
かもしれませんが、私は映像込みで考えればそこまで違和感を
感じなかったですね。曲自体の数はそこまで多くはないの
ですが印象的なものが多く、音楽モードの 12 番。葛藤 は
強烈に印象に残っています。始めて聴いたのが和泉の個別
ルートでしたが、冒頭のギターっぽい音から漂う少し寂し気な
感じからピアノのメロディーに変わった辺り。まさしくここは
タイトルの「葛藤」と言う言葉にぴったりだと感じました。
それ以外にも良い曲が多く、音楽モードの 2 番。日常 や
10 番の 夢 。16 番の 優しさ など選んでいけばキリがない
です。1 つ 1 つの完成度が高く、これが結果的に神秘的。
あるいは幻想的に感じられて作品の完成度を上げるのに一役
買っています。

キャラクター

色々書きたい事はありますが、まずは庄一からですね。えっ?
何でサブキャラ。しかも男からですって?そりゃだって、この
作品の完成度を上げた立役者ですよ。彼は。特に和泉の個別
ルートでの「今、お前が好きかどうかって問題だろう」から
続く発言は彼だからこそ言える名言だと思っています。また
雪の個別ルートのラスト手前での主人公を引き留めるセリフも
またいいんですよね。私は彼の発言があったからあの選択肢で
かなり悩みましたね。普段はバランスを取った発言が多い印象
ですが、本当に重要な場面での彼の言葉は中々響きましたね。
さて、本当は庄一についてもっと書きたい所ですが、そろそろ
次にいきます。そうですね…次は主人公辺りにしておきます。
まあ、記憶喪失という設定的に仕方ない部分もあるのですが
己がしっかり確立していないと言う印象を最初は感じました。
その辺りの指摘がマリアやアリスの個別ルートの辺りで言及
されてスッと腑に落ちました。ですが、あやふやだからこそ
しっかりと己の意志と気持ちを定めて各個別ルートの結末を
つかみ取ったともいえますね。さて、次は各ヒロイン達の事を
書こうかと思いますが、那波や花梨に和泉。そして雪の 4 人に
絞って書いていきます。鈴蘭やアリスにマリアが好きな人達
には申し訳ないですが、そういう事なのでご了承ください。
まずは那波についてですが、やはりシナリオが難解だった事も
あってイマイチ魅力が伝わりにくい部分があったと思います。
まあ、彼女自身の自我が薄い事も拍車をかけていたと思います
けどね。それでも少しずつ彼女なりに主人公に心を開いていく
シーンなどは良かったと思います。次は花梨ですが、彼女は
王道の幼馴染ヒロイン…と言ってもいい…かなと思ってます。
ちょっと自信がないのは、幼馴染ヒロインに必要な過去の
積み重ね が作品の性質上、表現しにくいからです。彼女が
主人公に弓を引いて欲しいのは彼女と主人公の間にあった
幼い頃の記憶が関係している訳ですが、そのことを主人公は
覚えていない訳です。ただ、そのこと自体は途中で思い出し
ます。ですがそれ以外にも色々なエピソードがあって、それが
積み重なって幼馴染を作っていると私は思っています。ですが
この作品では夢を頻繁に見たり場面転換がやや強引だったりと
過去のエピソードが現実なのか判断しにくくなっています。
この状態で幼馴染を強調されてもプレイする人が幼馴染感を
感じにくいのではないかなと個人的に思います。ただ、キャラ
クターとしてはちょっとした主人公の言動で嬉しそうにしたり
恋人関係になってから見える照れ萌えは中々良かったと思い
ます。次は和泉ですね。私は最初に彼女の個別ルートをプレイ
した事もあって印象に残っています。特に終盤で花梨に自分の
気持ちをぶつけ合うシーンは、彼女のキャラクターの魅力と
意志を感じられるですね。それ以外だと一枚絵でメガネを
外したシーンなんかも普段と違う彼女が見れて良かったです。
後、花梨の個別ルートで少しだけ庄一といい感じになって
いた所は複雑な気持ちではありますが、庄一には少しでも
幸せになってほしいと思っていますので、そのまま上手く
いって欲しいとエロゲではあまりない、サブキャラの男と
ヒロインがくっついて欲しいと少し思いましたね。さて。
最後は雪です。ああ。もう多くの言葉は無粋ですね。ただ
彼女の愛と献身に溺れてしまえばいいと本気で思った人が
たくさんいるのではないでしょうか?己がしっかり確立して
いない主人公にとって彼女はまさしく劇薬だった訳です。
だからこそ雪の個別ルートで全てを捨ててでも雪を選んだ
結末がアレでも私は納得していますし、逆に多くの人から
祝福されたり認められたりするのも違和感がありますね。
まあ、そんな話を見たくないか?と言われたら完全に否定
出来ないのも事実ではありますけどね。さて、以上で今回の
主観的作品紹介は終わります。本来なら尿について最後に
語っても良かったのですが変に作品を汚すのもアレなので
ここまでで。まあ、色々と考察や解釈を見つけたら完全版
的なものをもう一度書くかも知れませんけどね。

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